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Tsuchikura Laboratory

掘削機について

事例1:

(想定した事態)

・目的を達成させるべく、行為者の活動にインセンティブを設定する

 → 行為者がインセンティブを獲得するように行為することをねらう

 

(実際に起こったこと)

・インセンティブの獲得に向かう行為者間に争いが生じる

・結果的に、これまで自明の前提として目的の達成に寄与していたこと・機能が、損なわれてしまう(e.g.信頼)

・これにより、ねらいが達成されることはもちろん、ベースラインを下回るパフォーマンスしか達成されない

・・ねらいの達成に限って言えば、ベースラインを下回っただけとも言える。ところが、ねらいの達成以外を含む地盤に深刻な打撃を与えることも。

 ↓

・行為者が一人であれば、インセンティブが機能することを想定できたとしても、同様のことが、行為者が複数人のときにも想定できるとは限らない

・設計にあたっては、インセンティブを設定することで生じうることに配慮したうえで、短期的な遂行のみならず、長期的な遂行をも視野に入れることが大切

・いくら想定しても、想定外のことは生じる。そのときに迅速に対応することが求められる

 

(e.g. K)

 

事例2:

・利用者はシステムにそれなりに便利さを見いだして利用している

・運営者は、利益を拡大するために、新たなオプションをどんどん提案しつづける。損得を重視して、結果的に利益の上がらなかったオプションをどんどん切り捨てる

・・そのオプションに魅力を感じていた利用者は不満を抱く

・こうしたことが何度かつづく

 ↓ 

・一見すると、システムはマスに最適化されて、「効率よく」利益を獲得できるようになっている

・しかし、利用者はシステムが運営者の都合でコロコロ変えられる経験をすていることで、いま自分が満足しているシステムやオプションも切り捨てられる可能性があることに気づいている

 ↓

・同様の他のシステムを並行して活用することで、「もしも」のときのリスクに備える

・・システムへの愛着、信頼は損なわれてしまっている

・・交換不可能な存在になりえたシステムは、いまや交換可能なパーツのひとつにすぎない

 ↓

・回っているように見えるシステムの地盤は脆弱

・システムの運営者は、このこともわかった上で、短期的な利益追求を目指さざるを得ない

→ 前提を問い直す必要。愛し愛されるシステム、持続可能なシステムへ

 

(e.g. A、Zを展開するF)

命題の意味/機能

課題の補足

・命題(e.g.ヘルパーセラピー原則)が正しいか否かはひとまず問題ではありません。

・ポイントは、その命題の普及が共同体にとってどのような意味をもつか/機能を果たすか、ということです。

・命題の普及を達成したい人が、善意の人かどうかもひとまず問題ではありません(悪意をもっている場合もあるし、意図に無自覚の場合もあります)。

・もうひとつのポイントは、その命題の普及によって「不利益」を被りうるのは誰か、ということです。

・ただし、課題においてひとまず問題でなかった点は、普及の過程においてはクリティカルな問題になります。だから、「偽装」されます。

・・これらのことは「不利益」を不利益と認識させない役割とも関連しています。

 

「 」・・・皮肉な他者の視点

事例の補足


A:「ある現場」で何らかの目的を達成したい、とおもう

・現場のことがよくわからないので(現場で泥にまみれるつもりはない)、別の現場に関する情報にもとづいてモデルをつくる
・・そもそも設定した目的が不適切
・・目的とモデルがずれている
・・目的とモデルは適切だとしても、現場の制約に不案内なため、実効性を欠く
・モデルはつくられると、現場のことをよくわからないでつくられたことが見えなくなる


B:モデルが降ってきた現場では、「このモデル、おかしいよね」とおもう
・そもそも、目的が不適切では?
・目的とモデルがずれているのでは?

・実効性を欠くのでは?



A:
・Bをモデルに従わせるために、アメとムチをもちいる

B:
・(飢餓状態のため/競争において)アメを獲得するか否かは死活問題
・(厳しい競争において)ムチ(罰)を与えられて評価が下がるか否かは死活問題
・・アメを獲得するよう、ムチを回避するよう、動かざるを得ない

・選択肢:アメを「獲得する」「獲得しない」(アメのみ例示するが、ムチも同様)
・アメを「獲得する」コストが大きい場合(④へ)
・アメを「獲得する」コストが大きくない場合 → コストを支払う
・・ひとつのアメでは何の足しにもならない
・・たくさんのアメを獲得しようとする
・結果的にコストは膨大になる → 競争相手とのがまん比べ(④へ)


B:
・わけもわからぬままコストを支払い、疲弊 → 自滅(=フィールドから退場)
・「解決」策として、モデルを骨抜きにし、枠組みのみ適合するように、調整する


・表面上はモデルどおりに動いているようにみえる
・・ただし、目的は達成されていない

・Aもそのことを理解している(!)
・・しかし、だれにも責任を問われる可能性がないため、改善しない
・・事が大きすぎて、改善の仕方もわからない…

テーマ:どこをどのように改良しうるだろうか?分岐点はどこにあっただろうか?

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