私たち主題演習のメンバーは、今年度、市民と科学について対話するサイエンスカフェを行ないます。
このイベントを成功させるために、実際の科学の教育現場に赴いて学習するべきだと考えました。
その第一歩として、4月25日に、市民への環境教育の取り組みも行なっている「Honda浜松製作所」に見学に行きました。
当日は、大学で雨宮学長からHondaの自然環境に対する取り組みについてお話を伺った後、バスでホンダ浜松製作所に向かいました。
▲【Honda浜松製作所の入り口。製作所は街中にあり、車通りの多い国道に面していました。】
はじめに職員の方に所内にあるビオトープの概要を説明していただきました。
ビオトープとは、生物がありのままに生息する場所で、
都市部などで人間によって自然環境が再構成された場所のことです。
Hondaが取り組んでいるビオトープ「ふるさとの森」には全部で5つのエリアがあり、
子どもたちに環境教育の場を提供しているそうです。つづいて、ふるさとの森を見学させてもらいました。
▲【「ふるさとの森」の各エリアの説明。この場所から見学がスタートします。】
①ゲートエリア・・・浜松の里を草花や果実で表現しているエリア
②環境保全エリア・・・浜松製作所の環境への取り組みを紹介しているエリア
③水辺エリア・・・メダカやトンボなど水辺の豊かな生態系がみられるエリア
④昆虫エリア・・・浜松の里山を表現し昆虫を観察できるエリア
▲【①ゲートエリア。造成される場所に生えていた木を移植し、元気に育っています。】
▲【②環境保全エリア。ここでHondaの環境への取り組みについて説明してもらいました。】
▲【③水辺エリア。水面に空が映るほど澄んだ水でした。】
浜松製作所ではこのビオトープを環境教育の場として提供しています。
森見学の中では、子どもたちを飽きさせないような工夫がなされていました。
たとえば、①ゲートエリアでは外来種が在来種の生態系のバランスを崩していることを説明し、
参加者に「実際に外来種を抜く」という体験を行なってもらうそうです。
②環境保全エリアは汚水浄化装置の上に併設されています。
浄化する際の揺れや汚水の臭いを直に感じてもらいながら、
自分たちの足元で今まさに環境を守る取り組みがされていることを理解してもらうそうです。
職員の方がおっしゃるには、③水辺エリアが一番人気の場所で、
子どもたちは自由に生き物を観察したり、水の中に入って遊んだりできるそうです。
▲【③水辺エリア。みんな興味深く水の中を観察していました。】
特に印象に残ったのは、職員の方が一方的に説明を行なうのではなく、
子どもたちに質問を投げかけながら見学を進めているというお話です。
たとえば④昆虫エリアでは、なぜ木を植えているのかを説明をする際、
「カブトムシは何を食べるでしょうか?」といった質問を投げかけるそうです。
実際に環境教育の場として提供を行なっている現場を見学させていただき、
子どもたちの興味を惹きつける方法を学ぶことができました。
この体験はサイエンスカフェを実施する際のヒントになりそうです。
サイエンスカフェの実現に向けて、決めなければならないこと、
学ぶべきことはまだたくさんありますが、主題演習のメンバーで力を合わせて頑張っていきたいです。
(齋藤・倉田・中川)