●社会的共通資本(Social Overhead Capital)
・自然環境:大気、水、森林、河川、湖沼、海洋、沿岸湿地帯、土壌など
・社会的インフラストラクチャー(社会資本):道路、交通機関、上下水道、電力・ガス、通信など
・制度資本:教育、医療、金融、司法、行政など
※社会関係資本とは別の話です。
●制度主義(institutionalism)
制度主義の経済制度は、経済発展の段階に応じて、また社会意識の変革に対応して常に変化する。生産と労働の関係が倫理的、社会的、文化的条件を規定するというマルクス主義的な思考の枠組みを超えると同時に、倫理的、社会的、文化的、自然的諸条件から独立したものとして最適な経済制度を求めようとする新古典派経済学の立場を否定しようとするものである。(とくにヴェブレンの制度主義について;引用者補足)(p20)
●社会的共通資本の管理・運営について
社会的共通資本の管理について、一つ重要な点にふれておく必要がある。社会的共通資本は、それぞれの分野における職業的専門家によって、専門的知見にもとづき、職業的規律にしたがって管理、運営されるものであるということである。社会的共通資本の管理、運営は決して、政府によって規定された基準ないしはルール、あるいは市場的基準にしたがっておこなわれるものではない。この原則は、社会的共通資本の問題を考えるとき、基本的重要性をもつ。社会的共通資本の管理、運営は、フェデュシアリー(fiduciary;受託・信託)の原則にもとづいて、信託されているからである。
社会的共通資本は、そこから生み出されるサービスが市民の基本的権利の充足にさいして、重要な役割を果たすものであって、社会にとってきわめて「大切な」ものである。このように「大切な」資産を預かって、その管理を委ねられるとき、それは、たんなる委託行為を超えて、フェデュシアリーな性格をもつ。社会的共通資本の管理を委ねられた機構は、あくまでも独立で、自立的な立場に立って、専門的な知見にもとづき、職業的規律にしたがって行動し、市民に対して直接的に管理責任を負うものでなければならない。(p22-23)
文献