制度(institution)(河野,2002)
●制度の5つの特徴(pp.8-11)
1.制度は人間のさまざまな活動領域に見出される
2.制度には、つぎの3つが含まれる
①フォーマル化、組織化、あるいは明示(文)化されたもの;e.g.契約、企業
②インフォーマルなもの、あるいは組織化・明示(文)化されていないもの;e.g.握手をすること、大学に通うこと
③そのいずれかが一概には分からないもの;e.g.学術的専門分野
3.制度とは、すくなくとも①当初において 、②人為的につくられたものである
4.制度には、制度が成立している文脈、あるいはその制度の効果が行き渡る範囲がある
5.地域や文化といった空間的な文脈とともに、時間的な文脈によっても限定されている場合が多い
●制度の2つの概念化(pp.13-16)
「アクターの行動に課されるパターン化された制約」(経済学的新制度論;経済学的定義)
- 個人を優先している;人が制度を考案することを重視
- ノース:「制度とは、社会のゲームのルールであり、より公式に定義するならば、それは、人聞が自らの相互作用を成り立たせるために考案した制約である」
→制度の効用、機能を問うことにつながる
「アクターの現実理解や行動を意味付けるもの」(社会学的新制度論;社会学的定義)
- 制度を優先している;制度はすでにあることを重視
- スコット:「制度は、社会的行動に対して安定性と意味とを与える、認知的、規範的、および規制的な、構造と活動から成り立っている」
以上の議論を踏まえて、制度設計と規制緩和について考えてみましょう。