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分業の制約を超える

アリエリー(2010)が労働の意味について議論している部分で言及していたこと。

 

「何かの課題を、小さな部分に分解すれば、局所的に効率が上がる。一人ひとりが、自分のやる小さな作業を、ますますうまくできるようになる」。

「だがわたしたちは、分業が人間に犠牲を強いることに気がつかないことも多い。・・・略・・・カール・マルクスが、「労働の疎外」という言葉を使って、この現象に警鐘を鳴らした。マルクスのいう、疎外された労働者は、自分が行なっている労働からも、その目的からも、生産プロセスからも切り離されている。そのため労働者にとって仕事は、自尊心や意義を見いだせない、自分と無関係な活動になってしまうという。」

「分業は、事務処理技術がはらむ危険の一つのように思える。現代のITインフラのおかげで、仕事をたくさんの部分に細かく分割し、一人ひとりにそのうちのほんの小さな一部分を、ごく専門的かつ精密なやり方で割り当てられるようになった。しかし、企業はそうすることで、社員から仕事の全体像や、目的意識、達成感を奪ってしまうリスクを冒しているのだ。」(pp.108-109)

 

多様なアクターが複雑で相互に入り組んだアーティファクトを媒介物とするシステム(否、複雑で相互に入り組んだアーティファクトとそれに巻き込まれてかろうじて息をしているアクターがアリバイづくりのように画面を指でなぞっているシステム)にとって、現在のルーティンを回す要素となっている分業を諦めることは容易ではない。

ただし、この行き方は長期的なシステムの再生産、あるいは拡張につながるようには見えない。

 

さて、この状況下でどのようにアプローチできるでしょうか。これまでに学んだことを踏まえて考えてみましょう。

そのアプローチの目標は何ですか?

 

(発展)越境学習との関連も考えてみましょう。

 

文献

アリエリー,D. 櫻井祐子訳 2010 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」,早川書房.(文庫版もある)

 

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