tsuchikulab

Tsuchikura Laboratory

プロセスのただなかで

 喪われるものの輪郭はいつも鮮明である。これにたいして、出来するものはじつのところつねにあとづけで輪郭が引かれることになる。それは、じつは出来していた、というふりかえりにおいて、生成時にはあたかもすでに輪郭をともなっていたかのような認識とともにある。

 ところが、その気になって、目を凝らしてよく観察してみるならば、喪失のほうもまた似たようなものであることに気づくだろう。輪郭が鮮明であるように思われたのは、輪郭が鮮明になってはじめて喪失と認識したからに過ぎない。

 じつのところ、変化はいつもじわじわと起こっている。ただ「そのこと」をこのように表現してしまうと、あたかも変わらないものと変わることがあるように聞こえてしまうだろう。そうではない。

 これは措くとして、上記のような視点をあえてとろうとしても、やはり、喪失のほうが輪郭をともなっているように思ってしまうだろう。ここには、まだ解明すべきことがある。

 

tsuchilab.hatenablog.com

Copyright©2013- tsuchikulab All Rights Reserved.