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引用の仕方の補足(例)

引用の仕方について、2018年度の「社会調査法」の記事の関連する部分を、改変して再掲します(もとはこちら

 

たとえば、レポートにつぎのような文章を書いたとします。

 

 問いを立てるとはどういうことだろうか。一般的に調査の実施前に問いは明確になっているものであると言える。しかし、質的調査においては、問いがたつのは、調査がある程度進んでからであるという。どういうことだろうか。フィールドワークをするなかで、どこに焦点を定めて居ていくのかを絞ってていき、調査も終わりに近づいた段階になってようやく、問いを本格的に考えることができるようになるという。・・・

 

実際には、つぎの青文字赤文字が引用にあたります。

 

 問いを立てるとはどういうことだろうか。一般的に調査の実施前に問いは明確になっているものであると言える。しかし、質的調査においては、問いがたつのは、調査がある程度進んでからであるという。どういうことだろうか。フィールドワークをするなかで、どこに焦点を定めて居ていくのかを絞ってていき、調査も終わりに近づいた段階になってようやく、問いを本格的に考えることができるようになるという。・・・

  

ところが、このままでは、青文字赤文字が「引用であること」、そしてその「引用元」がわかりません。これでは、レポートの読み手に、どこが”レポート作者の考え”で、どこが”レポート作者が自説を説明するために参照した第三者の考え”なのかがわからなくなってしまいます。 この場合、意図していなくても、剽窃になってしまいます。それではどうしたらよいのでしょうか。

 

引用を示す部分を黒太字で表記してみます。 2つのパターンを挙げます。

 

(例1)

 問いを立てるとはどういうことだろうか。一般的に調査の実施前に問いは明確になっているものであると言える。しかし、丸山(2016)は、質的調査においては、問いがたつのは、調査がある程度進んでからであるという。どういうことだろうか。丸山は「フィールドワークをするなかで、どこに焦点を定めていくのかを絞っていき、調査も終わりに近づいた段階になってようやく、問いを本格的に考えることができるようになるという(p.75)。・・・

 

引用文献

丸山里美(2006).フィールドワーク,岸政彦・石岡丈昇・丸山里美.質的社会調査の方法―他者の合理性の理解社会学有斐閣

 

(例2)

 問いを立てるとはどういうことだろうか。一般的に調査の実施前に問いは明確になっているものであると言える。しかし、質的調査においては、問いがたつのは、調査がある程度進んでからであるという(丸山,2016)。どういうことだろうか。フィールドワークをするなかで、どこに焦点を定めていくのかを絞っていき、調査も終わりに近づいた段階になってようやく、問いを本格的に考えることができるようになるという(丸山,2016,p.75)。・・・

 

引用文献

丸山里美(2006).フィールドワーク,岸政彦・石岡丈昇・丸山里美.質的社会調査の方法―他者の合理性の理解社会学有斐閣

 

黒太字によって、青文字赤文字が「引用であること」(さらに間接引用と直接引用であること)、また、「何の引用であるか(引用元)」を明確に示しています。これにより、レポート作者の考えと第三者の考えが区別されることになります。

・ただし、ディシプリンによって、また、ジャーナルによって、引用の示し方、引用文献の表記の仕方は異なる部分があります。困った場合には指導教員の指示に従ってください。

・レポートは第三者の考えを引用をもちいてつなぎ合わせるだけでは不十分です。あくまでレポート作者が主張したいことがあり、その主張を補強するために、第三者の考えを借りる、ということになります。この点に注意してください。

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