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Tsuchikura Laboratory

質問紙の構成

2017年度(前期)の観光調査・研究法で用いた質問紙の構成はつぎのとおり。

 

1頁:フェイスシート

 

2頁:観光地選好に関する質問項目(八城・小口,2003)

・28項目:選択肢を改変(1:まったく行きたくない~5:とても行きたい)

 

3-4頁:観光動機尺度(林,2011;林・藤原,2008)

・30項目:教示を改変。下位尺度はつぎのとおり

・刺激性:新奇性や変化を経験することやそれらの経験から感じる驚きや興奮を求める気持ち(7項目:1,10,13,19,21,23,30)

・文化見聞:訪問国の文化にたいする興味や関心(4項目:6,11,26,29

・現地交流:旅行先で出会う人々との交流を期待する(4項目:9,18,27,28)

・健康回復:日常生活での身体的疲労やストレスからの回復を求める(3項目:7,14,22)

・自然体験:自然と直接的に触れ合いたいとする気持ち(4項目:8,20,24,25)

・意外性:計画に未定の部分を残したままの旅行で遭遇する出来事や人との出会いを楽しみたいとする気持ち(4項目:2,4,15,17)

・自己拡大:自己の内面的成長を求める気持ち(4項目:3,5,12,16)

 

5頁:大学生用リスクテイキング行動尺度(小塩,2001;2003)

・12項目:1.全くしない~4.よくする

 

6頁:オリジナル

・3問

 

文献

林幸史 観光動機尺度,吉田富二雄・宮本聡介編 心理測定尺度集Ⅴ,サイエンス社.pp.323-328.

林幸史・藤原武弘 2008 訪問地域,旅行形態,年令別にみた日本人海外旅行者の観光動機,実験社会心理学研究,48,17-31.

小塩真司 2001 大学生用リスクテイキング行動尺度(RIBS-U)の作成,名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学),48,257-265.

小塩真司 2003 友人関係における欲求,友人の行動,危険度認知が大学生のリスクテイキング行動に及ぼす影響,人文学部研究論集(中部大学),10,47-58.

八城薫・小口孝司 2003 観光地選好に及ぼす個人的原風景と心理学的個人差,観光研究,15(1),27-.33.

文献講読スケジュール

「うしろめたさの人類学」

目次

はじめに

第一章 経済―「商品」と「贈り物」を分けるもの

第二章 感情―「なに/だれ」が感じさせているのか?

第三章 関係―「社会」をつくりだす

第四章 国家―国境で囲まれた場所と「わたし」の身体

第五章 市場―自由と独占のはざまで

第六章 援助―奇妙な贈与とそのねじれ

終章 公平―すでに手にしているものを道具にして

おわりに 「はみだし」の力

 

12/1:1章(Na)

12/8:2章(Ko)、3章(Ka)

12/15:4章(Na)、5章(To)

12/22:6章(Ko)、終章(To)

 

文献

松村圭一郎 2017 うしろめたさの人類学,ミシマ社

文化、遺産の継承について(宇沢,2017)

文化、遺産を継承することについて、少々長いですが、宇沢(2017)から引用します。

 

「ブラジルの優れた研究者ユージニオ・ダ・コスタ・エ・シルヴァの論文『生物種の多様性と知的所有権』には、次のようなことが書かれています。 

アメリカの製薬会社が開発する新薬の75パーセントは、次のようなプロセスでつくりだされている。製薬会社が数多くの専門家を、アマゾンの熱帯雨林で暮らす少数民族の集落へ送る。彼らは集落の長老あるいはメディシンマンを訪ねて、伝承的に受け継がれてきた医療技術を聞く。長老やメディシンマンのなかには一人で五千種類にもおよぶ治療法を知っている人もいて、彼らにアマゾンに生息する動植物や微生物、土壌や鉱物について、どのような症状や疾病、障害にどう使えばいいかを尋ねる。専門家はこれらのサンプルを本国へ持ち帰り、ラボラトリーで化学分析をして、人工的に合成して新薬として売り出す。

近年、アメリカの製薬会社の多くが莫大な利益を上げているが、そのかなりの部分が、このような形でおこなわれる新薬開発によってもたらされている。そこでブラジル政府は、アメリカの製薬会社がアマゾンの長老たちに特許料を支払う制度をつくったが、長老たちはこぞってその受け取りを拒否するという。その理由は、自分たちのもっている知識が人類の幸福のために使われることぐらいうれしいことはなく、その喜びをお金に代えるようなさもしいことはしたくない、というものであった。」

(宇沢,2017,pp.153-154)

 

ジョン・デューイシカゴ大学哲学科に主任教授として迎えられたのと同じ頃から、ヴェブレンは経済学部で講師をしていて、そこでの経験にもとづいて大学論を書いています。大学論は主として1916年に刊行された『アメリカにおける高等教育』(The Higher Learning in America )のなかで述べられていて、その副題は「もしビジネスマンが大学を経営したらどうなるか」というものでした。つまり、経営的観点を中心にして大学を運営するとひどいことになる、そういう皮肉をこめてヴェブレンは近代文明社会における大学の機能を二つの側面から考えました。

一つは「Idle Curiosity(自由な好奇心)」で、人間に本来備わっている好奇心を探究していくことが大学の目的であって、決してお金を儲けたり、世間的に出世して偉くなったりするためにあるのではない、ということです。

そしてもう一つは「Instinct of Workmanship(職人気質、生産者としての本能)」で、もともと人間はものづくりに対する本能的な熱意をもっていて、ものをつくるときに強制されたり、それによって儲けようと考えたりはしない。」(宇沢,2017,p.109)

 

1945年、9月半ば、旧制一高の校長をしていた安倍能成先生がある場面で語ったエピソードを記している。

リベラルアーツというのは、教育の仕上げの段階で重要な役割を果たすものです。つまり、学問や芸術、知識であれ文学であれ、専門を問わず、先祖が残した貴重な遺産をひたすら学び吸収し、同時にそれらを次の世代へと受け渡すという鋭意をする場所だということです。一人ひとりの学生の人間的な成長を図るとともに、それを次代へと継承する役割がある。」
(宇沢,2017,pp.85-86)

 

宇沢弘文 2017 人間の経済,新潮社(新潮新書

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