仕事のやりがいのなさについて、デヴィッド・グレーバー(2018)のインタビューからブルシット・ジョブの説明を引いておきます。
ブルシット・ジョブ(bullshit jobs)
「あまりに意味を欠いたものであるために、もしくは、有害でさえあるために、その仕事にあたる当人でさえ、そんな仕事は存在しないほうがマシだと、ひそかに考えてしまうような仕事を指します。もちろん、当人は表面上、その仕事が存在するもっともらしい理屈があるようなふりをしなければなりませんーこれがブルシットの要素です。」(p.112)
ブルシット・ジョブはただの「きつい仕事」とは異なります(p.112)。上記定義の後半が重要になります。
・ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事
・シット・ジョブ:きつい仕事
ブルシット・ジョブの種類としてつぎのようなものが挙げられています(p.113)。
・取り巻き(フランキー:flunkies)
・ならず者(グーン:goons)
・尻拭い(ダクト・テーバー:duct-tapers)
・書類穴埋め人(ボックス・ティッカー:box tickers)
・無用の上司(タスクマスター:taskmasters)
・経理屋(bean-counters)
ここでは「書類穴埋め人」と「無用の上司」の2種類を引用しておきます。それ以外の種類、この2種類の詳細は本文を参照してください。
・書類穴埋め人:ある組織が、実際には取り組んではいないことを、さも取り組んでいるかのように主張するために存在している人々(p.115)
・無用の上司:必要のない仕事を人々にあてがったり、監督の必要のない者たちを監督するために存在する人々(p.115)
・・無用の上司が課す書類仕事により、「実のある仕事に人びとが費やす時間は減りつつあります」(p.115)
本文では、「仕事もどき(ダミー・ジョブズ)」(p.120)といった表現もなされる「仕事」ですが、グレーバーのインタビューでは、ありうる未来についても語られています。
グレーバー,D.,ワイズマン,S.(聞き手),芳賀達彦・森田和樹・酒井隆史訳 2018 ブルシット・ジョブの上昇ーデヴィッド・グレーバーへのインタビュー,現代思想,2018年11月号,pp.112-128.