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Tsuchikura Laboratory

現実へのアプローチと介入の根拠

「精神医学者、社会科学者としての我々は、世界が現にどうあるかを云々するよりも、観察者がどのように世界を観察するかに関心がある。現実の世界の存在に言及するための唯一の方法は、一観察者の視点を他の観察者のそれと比較することだからである。視点の差があればそこで観察者の心理的過程について何らかの推定が可能である。観察を数多く合わせたところで推定された現実と呼ばれるものの姿が浮かびあがってくる。しかし、推定された現実が実際に起こっていることの真の像かどうか誰も決めることはできないのである。/”現実”について仮定することは、にもかかわらず、有益である。(・・・以下、略。ベイトソンの議論が展開される。)」(ベイトソン,1989,p.297)

 

研究対象とするもの

・A:現実 → 知見の一般化

・B:ある人にとっての現実 → 知見の一般化はどうなるか? 

 

たとえば・・・

(1)Aに近いアプローチ

・「ある人にとっての」現実 → ある人にとってはこうである。

・・「ある人」をカテゴリ化することで、少なくともそのカテゴリには一般化できると主張する

・”世界”=1を、(たとえば)0.3とそれ以外(0.7)にわける

・「別の人にとっての」現実 → 別の人にとってはこうである。

 ・・「別の人」をカテゴリ化することで、少なくともそのカテゴリには一般化できると主張する

・”世界”=1を、(たとえば)0.3と0.3とそれ以外(0.4)にわける

相対主義に親和的

 

(2)Aから遠いアプローチ

・どのような状況で、どのようにみると、どのような現実なのか、という「パースペクティブ」と「現実」の関連性を一般化する

・あらかじめ、”世界”がどうなるかはわからないものの、”世界”にいたるメカニズムを解き明かそうとする。

→結果的に相対主義を免れる可能性。実在論

 

ベイトソン,G.(1989).個人、集団、文化.G.ベイトソン,J.ロイシュ 佐藤悦子・ボスバーグ,R.訳 『コミュニケーション』.思索社

 

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