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Tsuchikura Laboratory

行為が生じるメカニズムに関する覚書

議論の流れのメモ

 

人はつねにその人であり、行為はつねにそのようになされるはず、と想定している

 → 行為を、個人(や特性)に過度に帰属しすぎている

   ⇔

行為と資源の調整された関係性の観点からとらえる

・行為は、その人を取り巻く資源、資源へのアクセシビリティの状態とのかねあいで生じる

・資源と資源へのアクセシビリティからなるサーキットは結果的に安定している。そこには「慣性の法則」が働いている(=資源を前提にパーソナリティを定義する議論との関連。丸太をジャンプ!)

→ そのため、これらが変わらなければ、たしかに、行為はそのようになされ、その人はその人である蓋然性は高い

 

どうしたらよいのか?

・行為を可能たらしめる資源、資源へのアクセシビリティの状態を特定・把握する

  ↓

・それに代わる資源を準備する、別の資源へのアクセシビリティを高める/身の回りにある資源に気づく。この作業は本人がやるといい。他者がサポートするのも可。ただし、代わりにやっては意味がない。

・これまでとは異なる資源の布置からなるサーキットに慣れる。別の「慣性の法則」をつくる。ところが、レジリエンスがあり「回復」してしまう。他者がフォローアップするといい。ここがふんばりどころ。

 

別に考えるべき問題

・多様な状況において、自分で、ある行為をなすように、資源をととのえられる(=状況を構築する傾向性をパーソナリティとする議論)

・検討課題:ベイトソンの議論との関連

 

(参考文献:土倉,2014)

掘削機について

事例1:

(想定した事態)

・目的を達成させるべく、行為者の活動にインセンティブを設定する

 → 行為者がインセンティブを獲得するように行為することをねらう

 

(実際に起こったこと)

・インセンティブの獲得に向かう行為者間に争いが生じる

・結果的に、これまで自明の前提として目的の達成に寄与していたこと・機能が、損なわれてしまう(e.g.信頼)

・これにより、ねらいが達成されることはもちろん、ベースラインを下回るパフォーマンスしか達成されない

・・ねらいの達成に限って言えば、ベースラインを下回っただけとも言える。ところが、ねらいの達成以外を含む地盤に深刻な打撃を与えることも。

 ↓

・行為者が一人であれば、インセンティブが機能することを想定できたとしても、同様のことが、行為者が複数人のときにも想定できるとは限らない

・設計にあたっては、インセンティブを設定することで生じうることに配慮したうえで、短期的な遂行のみならず、長期的な遂行をも視野に入れることが大切

・いくら想定しても、想定外のことは生じる。そのときに迅速に対応することが求められる

 

(e.g. K)

 

事例2:

・利用者はシステムにそれなりに便利さを見いだして利用している

・運営者は、利益を拡大するために、新たなオプションをどんどん提案しつづける。損得を重視して、結果的に利益の上がらなかったオプションをどんどん切り捨てる

・・そのオプションに魅力を感じていた利用者は不満を抱く

・こうしたことが何度かつづく

 ↓ 

・一見すると、システムはマスに最適化されて、「効率よく」利益を獲得できるようになっている

・しかし、利用者はシステムが運営者の都合でコロコロ変えられる経験をすていることで、いま自分が満足しているシステムやオプションも切り捨てられる可能性があることに気づいている

 ↓

・同様の他のシステムを並行して活用することで、「もしも」のときのリスクに備える

・・システムへの愛着、信頼は損なわれてしまっている

・・交換不可能な存在になりえたシステムは、いまや交換可能なパーツのひとつにすぎない

 ↓

・回っているように見えるシステムの地盤は脆弱

・システムの運営者は、このこともわかった上で、短期的な利益追求を目指さざるを得ない

→ 前提を問い直す必要。愛し愛されるシステム、持続可能なシステムへ

 

(e.g. A、Zを展開するF)

命題の意味/機能

課題の補足

・命題(e.g.ヘルパーセラピー原則)が正しいか否かはひとまず問題ではありません。

・ポイントは、その命題の普及が共同体にとってどのような意味をもつか/機能を果たすか、ということです。

・命題の普及を達成したい人が、善意の人かどうかもひとまず問題ではありません(悪意をもっている場合もあるし、意図に無自覚の場合もあります)。

・もうひとつのポイントは、その命題の普及によって「不利益」を被りうるのは誰か、ということです。

・ただし、課題においてひとまず問題でなかった点は、普及の過程においてはクリティカルな問題になります。だから、「偽装」されます。

・・これらのことは「不利益」を不利益と認識させない役割とも関連しています。

 

「 」・・・皮肉な他者の視点

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