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相続税についても考える必要

「過去について学ぶ者にとって、古代の王や祭司の生活から教えられることは多い。・・・略・・・その世界観がわれわれの目には未熟で誤っているようにみえるとしても、論理的に一貫性があるという取り柄まで否定するのは不当といえよう。・・・略・・・この掟の体系の欠陥は―それは致命的なものだが―その成り立ちの理由づけにあるのではなく、そもそもの前提にある。・・・略・・・だが、欠陥がすぐにわかるからといってその前提を馬鹿げたものだと指弾するのは、ものの考え方として道理に反するばかりか失礼でもある。われわれの今のものの考え方の基礎は、遠い昔から幾世代もの人々が築き上げてきたものなのだ。とやかくいってもまだそれほど立派な水準には達成ていないが、しかし、ここまでたどりつくのに人間がどれほど苦労し、延々と努力を続けてきたかを、われわれはほとんど実感していない。そうした苦労を重ねてきた名もなき忘れさられてしまった人々にこそ、私たちは感謝を捧げるべきである。彼らがたゆみなくものを考え、意欲的に努力してきたからこそ、今日のわれわれがあるのだ。一つの時代が、そして、いうまでもなく一人の人間が、人類共同の知識の宝庫に加えることのできる新しい知識は微々たるものである。・・・略・・・われわれは財産の相続人のようなものだ。ところが、長い年月をかけて受け継いできたので、その財産を築いた人々のことなど忘れてしまい、その時々の所有者は、その財産をこの世の始まったときから自分の民族が変わることなく所有してきた独自の財産だとみなしてきた。しかし、あらためてよく考え調べてみれば納得がいくように、われわれがおおかた自分のものだ〔と〕自負してきた知識の宝の多くは先人たちのおかげなのである。」

(フレーザー,1994,pp.153-154)

 

文献
ジェームズ・フレーザー 内田昭一郎・吉岡晶子訳 1994 図説 金枝篇,東京書籍

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